当団桂冠指揮者秋山和慶氏が、指揮活動を引退されることが発表されました。誠に残念ではありますが、日本及び世界のオーケストラで活躍し、60年にわたる秋山氏のこれまでの多大な功績を称えるとともに、デビュー以来長きにわたる当団への献身的な貢献に、楽団員一同感謝の意を表します。
1964年のデビュー以来、秋山和慶氏とは、楽団の経営破綻、再建という苦しい時代もともに歩んでまいりました。デビューからの約60年間で指揮したおよそ4300回の演奏会のうち、当団との共演は1350回を超えます。特に定期演奏会におけるシェーンベルク「モーゼとアロン(1994年)」「ヤコブのはしご(1997年)」、ラッヘンマン「マッチ売りの少女(2000年)」、アダムス「エル・ニーニョ(2003年)」、ヤナーチェク「利口な女狐の物語(1997年)」「死者の家から(2003年)」、ヘンツェ「裏切られた海(2004年)」などの近現代のオペラを含む声楽付き大規模作品の数々の日本初演は特筆されます。これらの作品とともに日本の主要な音楽賞受賞へと導いていただきました。海外ツアーにおいても1976年、楽団初の海外公演となった北アメリカ公演をはじめ数々行ってまいりました。加えて、当団年末年始の特別演奏会である「第九と四季」は1978年から2018年まで41回指揮、「ニューイヤーコンサート」においても1980年から2024年まで毎年指揮いたしました。40年にわたる音楽監督・常任指揮者を経て、2004年に桂冠指揮者となった後も、現在本拠地とするミューザ川崎シンフォニーホールこけら落としでマーラー「千人の交響曲」を指揮し、その後もミューザ川崎シンフォニーホールのホールアドバイザーとしても当団との共演は続いておりました。
昨年、2024年には指揮者生活60周年を迎え、記念公演となった第724回定期演奏会では、秋山氏ご本人がかねてから希望していたブルックナー「交響曲第4番《ロマンティック》」で共演。流麗なタクトから生みだされる、奇を衒うことのない自然で美しい《ロマンティック》は満員の聴衆を魅了しました。
秋山和慶氏のご回復を楽団員一同、心よりお祈り申し上げます。
なお、既に秋山氏の指揮で発表または発売されている公演(2025年12/6名曲全集第213回、12/13第737回定期演奏会、2026年1/10ニューイヤーコンサート)の代役に関しては、追ってお知らせ致します。
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