東京交響楽団は創立70周年記念事業として、音楽監督ジョナサン・ノットと初となるヨーロッパツアー(2016年10月20日~27日)を行いました。2001年以来、15年振りとなったヨーロッパツアーは、全5公演が招待を受けて(=現地のホール、又はプレゼンターの主催)の演奏会となり、5か国5都市で広く国際交流を図りました。
ヨーロッパ公演のプログラムは、当楽団による数多くの初演曲の中から、当楽団委嘱初演作品であり、2016年に没後20年を迎えた武満徹《弦楽のためのレクイエム》と、日本の版画にインスパイアされたドビュッシーの交響詩《海》、中欧の代表的作曲家であるブラームスの交響曲第1番。 もう一方のプログラムは、歴史的作曲家であるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン=イザベル・ファウスト)と、東欧を代表するショスタコーヴィチの交響曲第10番を組み合わせた意欲的なプログラムで臨み、ブロツワフ、ザグレブ、ウィーン、ロッテルダム、ドルトムントにおける公演は1公演を除き完売、また全てスタンディングオベーションで迎えられました。
ウィーン楽友協会ホールやブロツワフ(2016年欧州文化首都)での国際音楽フォーラムなど、世界最高峰の舞台で演奏を行うことにより、その存在感を示し、2020年オリンピック/パラリンピックへの機運を高める機会となったことと思います。この貴重な経験を、オーケストラのさらなる成長に活かしてまいります。
ご寄付のお願い
創立70周年記念ご寄付の受付は終了いたしました。あたたかいご支援をありがとうございました。
皆様のあたたかいご寄付、文化庁をはじめとする助成金により、無事ヨーロッパツアーを終えることが出来ましたことに厚く御礼申し上げます。引き続き2017年3月まで「創立70周年記念ご寄付」を承っておりますので、何卒ご支援をお願い申し上げます。
ご寄付をいただいた方は、2017年3月までの当楽団演奏会プログラム誌上にご芳名を掲載させていただきます。
さらに2万円以上ご寄付下さった方には特別CD(非売品)をプレゼントいたします。CDには、音楽監督ジョナサン・ノットが大幅任期延長を決断するきっかけのひとつともなった2015年9月のモーツァルトマチネ公演での《モーツァルト:交響曲第25番》、そしてこちらも大きな話題を呼んだ2015年7月定期演奏会での《ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」》が収録されています。
皆様の暖かいご寄付をお待ち申しあげております。
ご寄付の方法
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曲目・公演スケジュール
指揮=ジョナサン・ノット 東京交響楽団音楽監督
ヴァイオリン=イザベル・ファウスト
< プログラムA >
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番(東京交響楽団1954年日本初演作品)
< プログラムB >
武満徹:弦楽のためのレクイエム(東京交響楽団1957年委嘱初演作品)
ドビュッシー:交響詩《海》
ブラームス:交響曲 第1番
プログラムAは2016年10月15日第645回定期演奏会
プログラムBは2016年10月8日名曲全集第121回&2016年10月9日東京オペラシティシリーズ第94回でも演奏。
*初訪問都市
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公演①プログラムB
日時:10/20(木)19:00
開催都市:ポーランド・ブロツワフ
<2016年欧州文化首都>*
会場:国際音楽フォーラム(1800席・2015年開館)
武満徹:弦楽のためのレクイエム
(東京交響楽団1957年委嘱初演作品)
ドビュッシー:交響詩《海》
ブラームス:交響曲 第1番
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レポート
最初に訪れたのは、欧州文化首都2016であるポーランド・ブロツワフ。古き良き中世の街並みが残る街で、日本のオーケストラとして初めて演奏しました。チケットは完売。EU Japan Fest事務局長より、オーケストラが創立70周年を迎え日本を代表するかたちで来たことを公演冒頭に聴衆にご紹介いただきました。日本大使をはじめ教育関係者まで、多くの文化担当者が来場されました。演奏の後には熱烈な総スタンディングオベーションを受け、幸先のよいスタートを切りました。
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公演②プログラムA
日時:10/22(土)19:30
開催都市:クロアチア・ザグレブ*
会場:ヴァトロスラフ・リシンスキ・コンサートホール(1874席・1973年開館)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番
(東京交響楽団1954年日本初演作品)
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レポート
ブロツワフからチャーター機で降り立ったのはザグレブ。この公演も完売。このホールでのチケット完売は極めて珍しいとのことで、ホール関係者から驚くほど。ホールは古い建物だったものの、非常にナチュラルな響きで、イザベル・ファウストによる美しいベートーヴェンとショスタコーヴィチの熱演に熱狂的なブラボーを頂きました。そしてこの日コンサートマスターを務めたグレブ・ニキティンにとってザグレブは思い出の地。約20年前にはザグレブ・フィルのソロコンサートマスターとして活躍しており、終演後に行われたアフタートークでは、感慨深げにクロアチア語を交えてユーモアたっぷりに語り、会場を大いに沸かせました。
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公演③プログラムA
日時:10/24(月)19:30
開催都市:オーストリア・ウィーン
会場:ウィーン楽友協会大ホール(1744席+立見席300席・1870年開館)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番
(東京交響楽団1954年日本初演作品)
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レポート
ここでの演奏を楽しみにしていた楽団員も多い黄金のホール、ウィーン楽友協会。オーケストラの音が豊潤に響き渡る中、ベートーヴェンではイザベル・ファウストが高い集中力のもとピアニシモの美観を湛えた演奏をしました。続くショスタコーヴィチでもノット監督渾身の演奏で、音色を変えながら熱演。サントリーホール定期で同プログラムを演奏した際にノット監督はコントラバスを真後ろに置く配置をとったのはこの日のためでした。演奏直後には多くのブラボーを頂き、ノット&東京交響楽団のコンビ史上最高の演奏をしたという手ごたえを感じた公演となりました。
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公演④プログラムB
日時:10/26(水)20:15
開催都市:オランダ・ロッテルダム*
会場:デ・ドーレン・コンサートホール(2200席・1844年開館)
武満徹:弦楽のためのレクイエム
(東京交響楽団1957年委嘱初演作品)
ドビュッシー:交響詩《海》
ブラームス:交響曲 第1番
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レポート
同ホール主催の「ワールドオーケストラシリーズ」と「武満徹シリーズ」2つのカテゴリーに組み込まれた公演。気迫のこもった演奏で前半のドビュッシー《海》が終わった時点ですでにスタンディングオベーション、そして後半のブラームス《交響曲第1番》でも観客総立ちとなり熱狂的な拍手に包まれました。終演後は応援ツアー参加者のバックステージツアーが行われたほか、ロッテルダム日本大使館主催のレセプションンで地元日本人コミュニティの皆さんと交流の機会を得ました。
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公演⑤プログラムA
日時:10/27(木)20:00
開催都市:ドイツ・ドルトムント*
会場:ドルトムント・コンサートホール(1550席・2002年開館)
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番
(東京交響楽団1954年日本初演作品)
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レポート
ツアー最終地は、サッカーで知られるドルトムント。小さい街ながらクラシック音楽における文化度は非常に高いホール。当公演もほぼ完売でした。移動後すぐのリハーサル&本番でしたが、旅の疲れを感じさせず最終公演にふさわしい熱のこもった演奏となりました。同一プログラムの本番を重ねることで試行錯誤ができ、演奏も一段高いレベルになったのではと感じました。演奏後は、スタンディングオベーションによるブラボーの嵐で非常な盛り上がりを見せました。同ホールの企画担当者の他、駆け付けたヨーロッパの音楽関係者から「想像を超える演奏」との高い評価を受けました。
5公演中、ロッテルダムを除く4公演が売り切れという、全体的に非常に高い集客の中、全公演スタンディングオベーションで迎えていただき本当に嬉しく思いました。本拠地ミューザ川崎シンフォニーホールで日頃リハーサルから演奏会までを行うことにより培った演奏が、世界最高峰の舞台で成果が評価されたのと感じています。今後ともこのツアーの経験を活かし、さらに充実した活動を目指してまいります。ツアー開催にあたりましてご支援いただいた皆様に心から御礼申し上げます。
現地新聞評
ロッテルダム公演 TROUW紙(2016年10月29日付)記念すべき年を祝う交響楽団、武満に深い敬意を表す
クラシック
東京交響楽団
武満、ドビュッシー、ブラームス
★★★☆☆
今シーズン70周年記念を迎える東京交響楽団は、その記念すべき年を初めてとなるヨーロッパ公演で飾る。公演中には5回のコンサートが開催される。
デ・ドゥーレンはこの歴史的なヨーロッパ公演に合わせ、半世紀前に初演された武満の「弦楽の為のレクイエム」を主要な演目の一つとする当交響楽団を招いた。このロッテルダムの公演会場では今回「武満へのオマージュ」から一部が披露されるが、今シーズン後半にはラルフ・ファン・ラートが武満のピアノ曲全曲を演奏するリサイタルも予定されている。
この日本の交響楽団は、1996年にこの世を去った同邦人の紡ぎ出した音を鋭く敏感に捉えていた。自信に満ち溢れた弦楽器奏者達は、盛り上がり、また消えてゆく調子に意味を持たせるだけでなく、感情をつぶさに描いた。激しい音域は慎重に攻め、悲しい音を奏でるアルトバイオリンは希望を奏でた。
川崎に拠点を置く東京交響楽団では、2014年からジョナサン・ノット氏が音楽監督を務めている。イギリス人であるノット氏はここで数少ない西洋人の演奏者と非日本人としてのルーツを分かち合っている。この交響楽団と指揮者との信頼関係は揺るぎないものであり、将来的にもそれを疑う余地はないと言えるだろう。先日、ノット氏は音楽監督としての任期を2025/2026年のシーズンまで延長した。
ロッテルダムにおけるブラームスの「交響曲第1番」では全てが満たされていたように見えた。晴れやかな金管楽器と歯切れの良い木管楽器の音色は、デ・ドゥーレンの優れた音響効果を限りなく試しているようだった。しかしながら聴衆が待ち望んでいるものがあったとしたら、それは深みへの模索と微妙な描出、また溢れるような官能性だったのではないだろうか。
対してドビュッシーに関しては鋭敏だった。「海」では日本的な美しさと情熱が前面に押し出され、演奏者は透き通るような色彩をパレットに描き出した。このフランス音楽のうっとりさせるような領域へは踏み込み過ぎずに。それにより均整の取れたオーケストラとそれを統率する指揮者は淀みない表現の高みへと上りつめた。
フレデリケ・ベルンツェン (訳:近藤貴子)
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助成
- 平成28年度文化庁国際芸術交流支援事業
- 公益財団法人朝日新聞文化財団
協賛
- 株式会社JMT
- 環境ステーション株式会社
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- 株式会社プロフェッショナルパーカッション
- 川崎アゼリア株式会社
- ショット・ミュージック株式会社
- 玉の肌石鹸株式会社
- 川崎臨港倉庫埠頭株式会社