ヘンツェ:オペラ「ルプパ ― ヤツガシラと息子の愛の勝利」特集
現代最高のオペラ作家と呼ばれるヘンツェの最後のオペラともいわれるこの「ルプパ」。
幸せの鳥「ルプパ」を求めて旅する3人の息子達・・・現代版「魔笛」を思わせるファンタジーあふれる物語です。2003年ザルツブルク音楽祭で初演され大絶賛を博した話題作、どうぞご期待ください。
第549回 定期演奏会
2007年10/20(土) 6:00p.m. サントリーホール
ヘンツェ:オペラ「ルプパ ― ヤツガシラと息子の愛の勝利」
(舞台演出付演奏会形式、全2幕、字幕付、日本初演)
指揮=飯森範親
アル・カジム=ラウリ・ヴァサール(バリトン)
バディアト=森川栄子(ソプラノ)
デーモン=トム・アレン(テノール)
老人=松下雅人(バス)
アジブ=ファブリス・ディ・ファルコ(カウンター・テナー)
マリク=小川明子(メゾ・ソプラノ)
ディジャブ=小野和彦(バス)
ガリブ=ジェローム・ヴァルニエ(バリトン)
ヴォーカル・アンサンブル=東京混声合唱団
舞台演出=飯塚励生
あらすじ・概要
【第1幕】
昔むかし、アラブでのお話。色彩豊かで高貴な鳥<ルプパ(ヤツガシラ)>が毎日窓辺に訪れるのを、年老いた王は楽しみにしていた。<ルプパ>は冠羽を持ちその羽は金色に輝く。ある時、王が幸福と感動のあまり捕らえようとしたところ、<ルプパ>はその手をくちばしで一突きして飛び去り、それ以来現れることがない。
悲しみにくれる王は3人の息子たちを<ルプパ>を捜すため送り出そうとするが、やる気のない2人の兄たちにだまされ、末っ子のアル・カジム1人が過酷な旅に出ることになる。途中天使のように親切なデーモンと出会い、その助けを借りてパーテ王国にいた<ルプパ>を手に入れることに成功する。
【第2幕】
パーテ王マリクから、暴君ディジャブに誘拐された王女バディアトを救い出してほしいと、頼まれたカジムは、南の地キンプガーニまで旅を続ける。そこで二人は出会い、たちまち恋に落ちる。二人の固い絆にディジャブは許しを与え、二人を解放する。そしてカジムとバディアトとデーモンの3人は、ディジャブから聞いた宝の木箱を捜しに、今度はマタンドーニ侯国へと赴く。そこではデーモンが傷を負いながらも宝の木箱を手に入れてくれ、みんなで王の待つマンダ島へと帰路を急ぐ。
無事に<ルプパ>を手に入れてもどってきたカジムたちに二人の兄は驚くが、カジムはまたもやだまされて井戸に落とされ、<ルプパ>も宝の木箱も二人に取られてしまう。そこにカジムの危機を察したデーモンが駆けつけ助け上げられる。この感謝をどのように表せばよいのかと尋ねるカジムに、デーモンは、カジムの故郷マンダ島の「生命の赤いりんご」を思い出に欲しいという。
戻ったカジムを見て、全てを理解した王は、兄たちを追放し、カジムとバディアトの婚礼を明日とり行うと宣言する。しかしカジムは『デーモンに「生命の赤いりんご」を届けるから婚礼は待ってほしい、すぐに戻るから』と言いおき、父と恋人を残して旅立っていく。
プログラム連載より
■演奏会プログラムSymphony 2007年5月号より
白石美雪(音楽評論家)
第1回 ルプパ/幸福のかたち~ザルツブルクの初演を聴いて
■演奏会プログラムSymphony 2007年6月号より
岡本久美子(大阪外国語大学准教授・古典アラブ文学)
第2回 ルプパ/幻想と現実
■演奏会プログラムSymphony 2007年7月号より
ジェンス・ブロックマイヤー
第3回 ルプパ/音楽と夢と現実 ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ
■演奏会プログラムSymphony 2007年9月号より
飯塚励生(演出家)
第4回 「演奏会形式」オペラの進化をたどる旅
■演奏会プログラムSymphony 2007年10月号より
ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの作業日誌より
何か不思議なものがうごめいている・・・