2015年に行われたマルコ国際指揮者コンクールで優勝し、2021/22シーズンから、ドイツ・ボーフム交響楽団の音楽監督を務める台湾出身の指揮者、トンチエ・ツァン。既に欧州のあらゆるオーケストラに客演し、今注目される若手指揮者の一人だ。ハイティンクが振るブラームス第1番のCDを聴き、そのパワーに圧倒され、指揮者になることを目指したという彼の指揮は、豊富で明快なアイディア、巧みな構成力、そして誠実な人柄やリーダーシップが特長。今回は、指揮者になるきっかけとなった曲をピックアップした。我々に、どんな衝撃を与えてくれるのか、今から楽しみでならない。
次世代のスターヴィオラ奏者 ティモシー・リダウト
「ヴィオラは、ヴァイオリンから“転向する”ことが多い楽器ですが、私の場合は異なりました。初めて音色を聴いたのは小学校での演奏会。旋律はよく知っていたハリーポッターのテーマ音楽も、ヴィオラで演奏されるとこんな音色になるのか!という驚きと感動で、一瞬でその虜となったのです。元々私は歌うことが大好きで、教会の合唱団に所属し、毎週歌っていましたが、変声期で以前の声を失ってしまったのです。そんな時も「自分にはヴィオラがあるじゃないか」と思い直すことができました。以来、ヴィオラは私の「声」なのです。
今回演奏するウォルトンの協奏曲は、20世紀を代表する名ヴィオラ奏者ライオネル・ターティスの為に作曲され、ヒンデミットが初演を務めた名曲です。我々ヴィオラ奏者にとって、ターティスは神のように崇める存在。イギリス人として、そして彼の名を冠したコンクールで賞をいただいた私にとって、とても大切な曲です。特に日本で聴いていただきたいと思っていたこの協奏曲を演奏することで、ヴィオラのファンが増えたり、イギリス音楽に対する興味が湧いたり、音楽への誘いになることが、私にとって何より嬉しいことなのです。(ティモシー・リダウト)」
2024年9月28日(土) 14:00開演 東京オペラシティコンサートホール
指揮:トンチエ・ツァン
ヴィオラ:ティモシー・リダウト
J.S.バッハ/マーラー編:管弦楽組曲 第3番より「アリア」
ウォルトン:ヴィオラ協奏曲
ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 op.68