ものがたり
第1部
老人となったファウスト博士(=マイケル・スパイアーズ)がひとりハンガリーの平原にたたずみ、はかなき人生を思う。楽しさあふれる農夫たちの羨み、兵隊たちの奏する「♪ラコッツィ行進曲」が心に空しく響く。
第2部
人生を悲観したファウストが書斎で毒を飲もうとすると、復活祭の歌が聞こえてくる。すると突然、悪魔メフィストフェレス(=ミハイル・ペトレンコ)が現れ、全ての望みをかなえてあげようと言い、二人は街に繰り出す。
ドイツ北部ライプツィヒ・アウエルバッハの地下酒場では酔ったブランデル(=北川辰彦)と学生たちが「♪ねずみの歌」を歌い、続いてメフィストフェレスが「♪蚤の歌」でお返しをする。ファウストはこの雰囲気には馴染むことが出来ない。
場所はかわってエルベ川のほとり。若者になったファウストがまどろんでいると、メフィストフェレスと妖精たちが少女マルグリート(=ソフィー・コッシュ)の幻を見せる「♪妖精の踊り」……ファウストは一目で恋に陥ってしまう。
第3部
夕暮れ。
メフィストフェレスにマルグリートの部屋に連れてこられたファウストは愛のアリアを歌う。ファウストが部屋にいることを知らないマルグリートは夢に現れたファウストを思いつつ「♪トゥーレの王」を歌いながら眠る。メフィストフェレスは鬼火たちを呼び出し「♪鬼火のメヌエット」、セレナードを歌う。マルグリートが目覚めると目の前に夢の中に現れたファウスト青年が立っており、二人は愛の二重唱を歌う。
夜も明け、街が騒がしくなり、二人は名残惜しみつつ別れる。
第4部
マルグリートは糸車を回しながらファウストのことを想って歌う。外では学生や兵士たちが歌を歌っているが、ファウストの声は聞こえない。
場面は変わって荒涼とした森と洞窟がある風景の中、ファウストが「♪自然を讃える歌」を歌っているとメフィストフェレスが現れ、マルグリートが母親殺しで死刑となることを告げる。ファウストはマルグリートの命を救ってほしいと求める代わりに、メフィストフェレスへ自分の命を捧げる誓約書を書く。二人は二頭の黒馬にまたがり地獄へ落ちていき、メフィストフェレスが勝ちどきを上げる。地獄では悪魔たちが歌い、天国ではマルグリートの昇天を天使たちが歌う。