待望の東響初登場!企画制作担当が語る、
実に7年越し!! ブランギエ招聘の決め手 | 9月定期・川崎定期演奏会特集②

9月定期・川崎定期演奏会特集© Simon Pauly

そんなブランギエ氏に、私が注目した点は大きく次の三つ。

①尋常ではない集中力の高さ
②切れ味抜群の指揮ながら決してオーケストラをドライブしすぎない
③ドライブしすぎないのに品格ある音楽があふれ出てくる

例えば当時の手兵トーンハレ管との幻想交響曲(ベルリオーズ)を聞いてみて下さい。
最初の5分から10分、あるいは出だしの音で、その「作曲家の音」が鳴るかどうかは、凄く大切なことだと思うのですが、この集中力の高さって何なのでしょうか!!
その一方で、ニッコリ微笑みかけたりしながら、ナチュラルな指揮で決してオーケストラにプレッシャーは与えない。そして切れ味抜群ながら、オーケストラに任せるところは任せて、決してドライブしない。若いのに既に「大人の音楽」をやっていますよね。

そしてもう一つ、チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」を指揮するこの映像をご覧ください。
上記の幻想交響曲同様、素晴らしい集中力の高さですが、ここで私が注目したのは、オーケストラがフランクフルト放送交響楽団であること。幾度も共演を重ねたわけでは無いはずですが、やはり集中力を維持しながら、無理にオーケストラをドライブしない。でも品格ある音が聞こえる。客演しただけのオーケストラでこれができるのであれば、凄い指揮者に間違いない!

予想は確信へ変わり、確信は彼を招聘する情熱へと変わっていきました。実に7年越し。待望の東響初登場の本公演。是非ご期待ください。

文:辻 敏(東京交響楽団事務室長)

公演情報


【9月定期・川崎定期演奏会特集】
実に7年越し!! ブランギエ招聘の決め手①

9月定期・川崎定期演奏会特集